数年前にある本(歴史書)の索引づくりを引き受けたことがある。項目索引、人名索引、地名索引と欲張ったのですが、結局人名索引のみに。大げさと言われそうですが、楽しくも、自分に厳しく向き合った仕事でした。私自身の経験でも、一つの索引項目から、広い知的世界が広がったことが何度もあるから、索引づくりに手を抜けないし、抜きたくなかったのです。
昨年、「ちくま学芸文庫」に牧野富太郎の著作が2冊が刊行されたのですが、そのうちの『植物一日一題』には「植物名索引」「人名索引」「書名・雑誌名索引」が、『植物記』には詳細な「年譜」が付されています。参考文献としての読み方もする私としては、そのはからいには感謝なのですが、少しのぞいてみた「人名索引」には失望してしまいました。統一性のなさ、記述誤り・・・、これがちくま編集部の仕事なのでしょうか。
凡例には、「人名の次の( )内は,幼名または号と,生没年を併記した.」と書かれているのですが、生没年が記されている人物とそうでない人物があるのです。この生没年記載の有無の区分がわからないのです。たとえば近年の植物学者――牧野にとってはすべてが後輩格にあたるであろうが――のうちで、〔中井猛之進〕に(1882―1952)とあって、〔久内清孝〕には何も記載がないのはなぜなのであろうか。〔津山尚〕には(1910― )とあって、〔遠藤善之〕には何も記されていないのはどうしてなのか。
これは『漱石全集』の書簡集に、植物学に不明な編集者によって「久内清孝 不詳」と、書かれてしまったのと同一にはできないのである。
「95点?の索引」、――これを“杜撰な索引”とあえて言いたいのですが、ちくまの担当者の方は、「こんなもんさ」と言われるのでしょうか。
ちくま書房の編集部に成り変って正誤表をつけるならば、
「久内清孝 35,257」は「久内清孝(1884―1981) 36,257」である。そう、参照先のページにも誤植があるのである。
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