無料ブログはココログ

« 「文翔館」と田原新之助 | トップページ | “冬のダイヤモンド” »

2008年12月13日 (土)

阿彦伝承メモ

 先日、「神便鬼毒酒」のメモ書きをしましたが、これは人には力を与え、鬼からは力を奪うという妖酒です。

 この「神便鬼毒酒」、酒呑童子の鬼退治の小道具として登場しますが、大正9年に郷土史家の土田古香氏が「高岡新報」に寄稿された「鬼ケ城で阿彦鬼退治」という郷土の読み物に、誤植だろうと思いますが「神使鬼毒酒」としてこのお酒が出ています。この土田氏の古い記事を見つけてくださったK書房の勝山さんにはお礼のことばもないのですが、お酒のことはともかく、土田氏の物語は創作の部分も含むとはいえ、富山県の砺波地方に酒呑童子の鬼退治と類似の言い伝えが、――忘れ去られた地名伝承や神社由来の存在を示唆しながら――あったことを推定させる内容になっているところが関心をひきます。

 越中の古伝承に「阿彦」という大和朝廷にまつろわぬ妖力をもった人物が登場すること、朝廷が平定のために大若子命を越中に派遣したこと、などはこのブログの前身である旧日記に何度か話題にしたことがあります。が、《「阿彦=鬼」→「鬼退治》という明確な図式の伝承は私自身確認していなかったので、阿彦伝承の整理のためにも土田氏の「鬼ケ城で阿彦鬼退治」物語の裏にある(あった)伝承をあらためて掘り起こす作業が、必要となってきます。

 私としては、1.古代文献における「アヒコ」人名(依網吾彦垂見〔依網阿毘古〕、依網屯倉阿弭古など)の諸態様 2.各地の「アヒコ」地名・人名の歴史的背景 3.越中の阿彦伝承と吉備の温羅伝承の構造の類似性 4.東北の「安日(アビ)・阿倍」伝承とアヒコの関連性などをまず整理しようと思っていたのですが、――5.あらためて富山県内に残るアヒコ伝承の掘り起こしが、課題として加わることになります。
 手に余るテーマばかりです。

〔追記〕
 実は、江戸時代に書かれた「泉達録」の阿彦伝承にも「鬼ケ城」はさりげなく出てきます。そのことの関心から砺波の郷土史家の尾田さんの掲示板に書いたメモと、尾田さんの貴重なコメント(今年6月)を転載しておきます。

かぐら川:栴檀山別所の鬼ヶ城(別名安川城・浅谷城)に鉄伝承があるのですか。ここについては別のことから関心を持っていました。ぜひ次回お伺いした折に・・・。

尾田:石仏と同じくらいに栴檀山別所の鬼カ城は関心事です。鬼伝説と鉄のかかわりは、若尾五雄氏や五来重氏が説かれています。また白鳥伝説と鉄との関わりもあり、別所という地名も鉄と関わります。
現在栴檀山の鉄に関係ある地名や伝承を探っています。
日本民俗学(富山の民俗学も)は稲の文化を追求している人が多いですが、定着民でない非定着民や遊行の人々に関心を持つ研究者は少ないと思います。

 以下、自分のために以前書いたメモの整理です。
 〔追記2〕
・旧日記に書いた「阿彦伝承」メモ
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=325457&log=20050624
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=325457&log=20070124
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=325457&log=20070126
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=325457&log=20070301
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=325457&log=20070331


・地名/人名の「アビコ」についてrenqingさんのブログに書いたメモ;
「我孫子は、アビコないしアヒコの当て字ですね。藤子不二雄Aは、安孫子素雄ですし、ほかにも吾孫子、阿孫子、亜孫子、安彦、阿彦、阿比古、吾彦、我子などさまざまなヴァージョンがあります。「我孫子」の地名に限っても千葉県の我孫子市のほかにも大阪市住吉区我孫子、同泉大津市我孫子、奈良県橿原市我孫子、福岡県直方市我孫子、埼玉県羽生市我孫子などなど山のようにあります。古代のアビコ(アヒコ)が何であったのか、――古いところでは直木孝次郎氏の「阿比古考」という論文がありますが――その意味・語源とも未だに明らかになっていないと言ってよいと思います。」

« 「文翔館」と田原新之助 | トップページ | “冬のダイヤモンド” »

コメント

「かぐら川」さん、こんばんは。
猿投山人と申します。
「阿彦」Google検索で、初訪問しました。

>・旧日記に書いた「阿彦伝承」メモ
>http://www3.diary.ne.jp/...........
これらのリンクURLが、『Not Found』でした。
恐縮ですが、2016.5現時点の
URLを教唆願えませんでしょうか?
宜しくお願いします。
     ------ FRI. 24:36 2016/05/05

猿投山人さま、すみません。日記形式の上記サイトはnet上には無くなってしまいました。自分のメモリーのどこかに保存してあると思いますが・・・。

なお、このブログはなぜかログインできなくなって、同名のブログをほかで書いていて、気づくのが遅くなり失礼しました。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1108790/26164805

この記事へのトラックバック一覧です: 阿彦伝承メモ:

« 「文翔館」と田原新之助 | トップページ | “冬のダイヤモンド” »

最近のトラックバック

2016年10月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31